Vittani M, Herlo R, Wang X, Christensen MDB, Vo CT, Mishima T, Kusk P, Konno A, Hirai H, Tsuboi T, Kitaguchi T, Kjaerby C, Asiminas A, Yokoyama T, Sakamoto M, Nedergaard M, Hirase H.
Proc Natl Acad Sci USA. 2025 Jul 8;122(27):e2422069122.
脳の血流は、神経の活動に合わせて変化しますが、実は神経細胞だけでなく「アストロサイト」というグリア細胞も関わっています。この研究では、マウスの脳の中でアストロサイトの細胞内のcAMPという物質が増えると、これまで知られていたカルシウムの経路とは別の道筋で脳血流が調節されることを発見しました。脳と血流をつなぐ新しい仕組みです。
Nakamura T, Nakajima K, Fujimori-Tonou N, Kasahara T, Tsuboi T, Kato T.
Neuroscience Research, 2025 May 23. doi: 10.1016/j.neures.2025.05.005.
神経の発達に関わる遺伝子Kmt2cに、体の一部の細胞だけ変異が入った「モザイク変異」マウスを作り、その特徴を調べました。受精した後にたまたま生じるこうした変異が、双極性障害のような心の病気の発症にどう関わっているのかを、モデルマウスを使って探った研究です。
Yamada S, Natsubori A, Harada K, Tsuboi T, Monai H.
iScience, 28, 112439, 2025.
食事をすると腸でブドウ糖(グルコース)が感知されますが、その情報が脳までどれくらい速く届くのかは、実はよくわかっていませんでした。この研究では、腸と脳をつなぐ「迷走神経」という神経を通って、グルコースの情報がとても素早く脳に伝わることを突き止めました。腸と脳が会話する速さを示す発見です。
Sato J, Manaka K, Horikoshi H, Taguchi M, Harada K, Tsuboi T, Nangaku M, Iiri T, Makita N.
Scientific Reports, 15, 9494, 2025.
成長ホルモンの病気などの治療に使われる薬「パシレオチド」には、血糖値が上がってしまうという副作用があります。この研究では、薬を投与したときのGLP-1とインスリンというホルモンの分泌の変化を詳しく調べ、Gsタンパク質という分子を狙った治療法が、この副作用の改善に役立つ可能性を示しました。
Osuga Y, Harada K, Yamauchi T, Kitaguchi T, Hirai-Yokota M, Matsumoto M, Tsuboi T.
FEBS Letters, 599, 1595-1608, 2025.
魚介類などに多く含まれるアミノ酸「タウリン」には、体にうれしい働きがいろいろあると言われています。この研究では、タウリンが腸の中のL細胞という細胞から、血糖を下げるホルモンGLP-1の分泌を促すことを培養細胞で確かめました。食べたものがホルモンの分泌にどう影響するかを知る手がかりです。
Harada K, Wada E, Osuga Y, Shimizu K, Uenoyama R, Hirai-Yokota M, Maekawa F, Miyazaki M, Hayashi KY, Nakamura K, Tsuboi T.
Molecular Metabolism, 91, 102072, 2025.
バソプレシンというホルモンを受け取る受容体を持たないマウスを調べたところ、腸内細菌が作り出す酪酸という物質を介した、消化管ホルモンの分泌や脂質の代謝に乱れが生じることがわかりました。バソプレシンが、腸内細菌の代謝物とホルモン分泌をつなぐ役割を担っている可能性を示す研究です。