トピックス

栄養素を感知するAgRPニューロンはエネルギー欠乏時の肝臓オートファジーの制御を中継する

 オートファジーは、エネルギー不足を感知して、損傷したタンパク質や細胞小器官を細胞から除去する細胞のメンテナンス機構で、飢餓状態を生き抜くために自己消化することで栄養源を確保するはたらきも担っている。 著者らは、マウスの絶食が視床下部AgRPニューロンの活性化と並行して肝臓のオートファジーを活性化することを発見した。光活性化イオンチャネルチャネルロドプシン-2(ChR)を用いた光遺伝学的手法と、DREDDを用いた化学遺伝学的手法によりAgRP活性化/不活性化させ、オートファジー誘導や代謝のメカニズムを突き止めた。その概要は、①絶食環境によりAgRPが活性化、②AgRPからneuropeptide(NPY)が放出、③視床下部室傍核(PVH)周辺のNPY1R発現ニューロンが抑制される、④PVH周辺のNPY1R発現ニューロンによって抑制されていたPVHに存在するCRHニューロンが活性化、⑤ 視床下部-下垂体-副腎皮質を繋ぐ伝達経路であるhypothalamic-pituitary adrenal(HPA)軸を介してコルチコステロンが放出される、⑥肝臓でオートファジーが誘導される。以上のことから、栄養欠乏時の代謝適応の制御における肝臓オートファジーの基本的な制御原理を明らかになった。

 言語などの高度で複雑な機能を持った哺乳類の脳では、神経細胞が非常に多くの種類に分化しています。本研究で示された神経細胞の進化モデルは、哺乳類の脳の複雑化メカニズムにも適用できる可能性があります。

紹介論文: Nutrient-sensing AgRP neurons relay control of liver autophagy during energy deprivation. Weiyi Chen et al., Cell Metab. 2023; 35(5):786-806.e13

▲TOPへ戻る