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ハトの肝臓の免疫細胞が方位磁石のように磁場を感知?

伝書鳩やわたり鳥は、太陽や目印が見えない曇りの日でも、地磁気を方位磁石のように感じ取って家に帰れることが知られています。しかし、体のどこで、どうやって磁気を感じているのかは長年の謎でした。これまでは目の中で光を感知するタンパク質や、くちばしの中の鉄の粒などがその候補とされてきましたが、どの仮説も決定的なものではありませんでした。

研究チームが注目したのは、意外にも肝臓でした。肝臓には、古くなった赤血球を分解するマクロファージという免疫細胞があります。この細胞は赤血球から取り出した鉄をフェリチンという形でため込むため、弱い磁石のような性質を持ちます。研究チームは物理・組織・遺伝子などさまざまな検査から、この性質を確かめました。しかも、この鉄をためた細胞は、脳とつながる神経のすぐそばに位置していました。つまり、磁場の情報を脳に伝えられる場所にあったのです。

そこで研究チームは、薬を使ってハトの肝臓のマクロファージだけを一時的に減らす実験を行いました。すると——曇り空のもとで放たれたハトたちは、方角が分からなくなり、あちこちに飛んで巣に帰れなくなってしまったのです。一方、太陽が見えているときは、マクロファージが減っていてもちゃんと帰ることができました。マクロファージが元にもどれば、曇りの日でもまた正しく帰れるようになりました。

この結果から、「肝臓のマクロファージが、太陽の見えない曇りの日にハトが磁場で方角を知るために必要だ」と結論づけられました。1個の細胞ではなく、たくさんの細胞が集まって協力することで、磁場という弱い信号を感じ取っているのだろうと考えられています。

面白いのは、この仕組みは光を必要としないため、暗い場所で活動するコウモリや、目の見えないモグラ、さらにはサメなど、他の動物が磁場を感じる方法の説明にもつながるかもしれない点です。この発見は「免疫細胞が、体の状態だけでなく“環境”までも感じ取るセンサーになりうる」という、新しい見方も示しています。

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