Topics No.88

脳の「脂質」が、うつ病の鍵?

神経・脳

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脳の「脂質」が、うつ病の鍵?

うつ病は、ストレスや遺伝的な要因が絡み合って生じる病気です。その仕組みはまだ謎が多いのですが、今回の研究から、脳の中の「脂質(あぶら)」が意外な重要な役割を担っていることが明らかになりました。

注目したのは、側坐核という脳の部位です。ここは「やる気」や「楽しさ」を感じる報酬系の中枢であり、ストレスへの応答にも深く関わっています。

研究では、うつ病を発症しやすい遺伝子改変マウス(p11欠損マウス)と、慢性的なストレスを与えたマウスを用いました。これらのマウスは、喜びを感じにくくなったり、社会的なつながりを避けたりと、うつ病に似た行動を示しました。

そして側坐核を詳しく調べると、「ホスファチジルエタノールアミン」というリン脂質が著しく減少していることが判明しました。遺伝的な要因とストレスでは、減る脂質の種類が微妙に異なり、しかもその減り具合が、うつ様行動の強さと連動していました。

さらに、リン脂質の合成を薬で意図的に阻害すると、健康なマウスでもうつ様の症状が現れました。これは、脂質の減少がうつ病の「原因」になりうることを示す、直接的な証拠です。

脳の脂質バランスを整えることが、うつ病の新しい治療法につながるかもしれません。

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