原田一貴, Ph. D


RESEARCH

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一般の方、中高生、大学生向け
研究者、大学院生向け


一般の方、中高生、大学生の方へ
自分の研究テーマが「ホルモン分泌」なので、Googleで「ホルモン」と検索した結果の上位15件がこちら。(2016.11.20現在)

1.ホルモン焼き - Wikipedia
2.ホルモン - Wikipedia ←これ
3.亀井戸ホルモン 恵比寿店 - 食べログ
4.新宿ホルモン - 食べログ
(以下5~7食べログ)
8.マキシマム ザ ホルモン - Official Site
9.情熱ホルモン:炭火七輪で楽しむ、激うまホルモン焼き
10.みんなの推薦 ホルモン - クックパッド
11.新橋ホルモンだんグループ
12.【ホルモンの栄養】こんなに栄養が豊富なの?
13.メニュー紹介 ホルモン - 牛角
14.ホルモン からだとくすりのはなし 中外製薬 ←これ
15.ほるもん 植物ホルモン擬人化まとめ ←近い



驚くべきことに焼肉の「ホルモン」がほとんどです。学生向けの研究紹介で「いや、肉のほうじゃなくて」みたいに後付けに言ってましたが、そんな程度の説明ではいかんとよくわかりました。

そもそもホルモンとは、中外製薬さんの言葉を引用させていただくと「からだのさまざまなはたらきを調節する化学物質」の総称で、「塩酸」とか「マツコ・デラックス」のような、これといった特定のものを指す名前ではありません。たぶん、具体的な名前を挙げたほうがなじみ深いはずです。

インスリン:膵臓から出る。血糖値を下げる。
成長ホルモン:脳から出る。体を大きくする。
エストロゲン、プロゲステロン(女性ホルモン):卵巣から出る。第二次性徴や性周期を作り出す。
アンドロゲン(男性ホルモン):精巣から出る。第二次性徴やハゲにかかわる。

などが有名でしょうか。ほかにもいろいろな場所から、たくさんの種類のホルモンが出ていろいろなはたらきをします。
その中で私が研究しているのは、胃や腸といった消化管です。消化管は食べ物を消化して栄養を吸収する場所ですが、実はホルモンも分泌しています。消化管が食べ物と接しているからか、消化管ホルモンには食欲の調節にかかわるものが多いです。
ホルモン分泌がおかしくなると、糖尿病や更年期障害など、様々な病気につながります。自分の研究はあくまで基礎研究で、消化管からホルモンがどのように分泌されているかを調べている段階ですが、やがて研究結果が創薬に応用されたら幸せかなとも思っています。

ちなみに焼肉のホルモンは内臓肉、特に小腸のシロコロなどを指す言葉です。なぜ「ホルモン」と呼ぶのかについては諸説あります。体のはたらきを調節するホルモンの力?にあやかって、内臓肉を食べて活力が得られるからとか、もともと廃棄部位で「放るもん」からなまったとか。

研究者、大学院生の方へ

より具体的に研究テーマを述べると、「生細胞イメージングを用いたホルモン分泌機構の可視化解析」です。
ホルモンが分泌される際、内分泌細胞の中で何が起きているのかを分子レベルで解明することが当面の課題であり、目標です。主に用いるツールは蛍光顕微鏡と高感度カメラを用いた生細胞イメージングで、分泌時のシグナル分子やタンパク質の挙動をリアルタイムで観察しデータとしています。
特に活用しているのが細胞膜付近の蛍光のみを観察できる全反射蛍光顕微鏡で、分泌小胞・細胞骨格・膜タンパクなどの動きをとらえることのできる強力な武器です。

  

左から、分泌小胞(Harada et al., Biochem Biophys Res Commun, 2015)、アクチン骨格、イオンチャネル(ともにHarada et al., J Biol Chem, 2017)を可視化した小腸内分泌細胞株の全反射蛍光顕微鏡動画

また細胞の特定のタンパク質を可視化するだけでなく、cAMPやcGMPなどの細胞内シグナル分子の濃度変化を可視化する「蛍光タンパク質センサー」の開発にも携わっています。

 

左から、赤色蛍光cAMPセンサーPink Flamindo(Harada et al., Sci Rep, 2017)、緑色蛍光cGMPセンサーGreen cGull(Matsuda et al., ACS Sens, 2017)を発現させた細胞の蛍光強度変化

しかしこの生細胞イメージングの細かさはもろ刃の剣で、「細胞一個でみられた現象が本当に動物個体で起きているんですか?」と突っ込まれることもしばしばあります。そのため、マウスを用いて実際のホルモン分泌量を測定するなど生化学的な実験も組み合わせ、より説得力のある研究へと発展させるつもりでいます。

専門分野
内分泌学、分子細胞生理学、バイオイメージング、光生物学

研究手法と材料
哺乳動物の培養細胞を用いた遺伝子導入、蛍光顕微鏡による生細胞イメージング。画像解析を少々。
クローニングなど分子生物学的手法を用いた新規蛍光タンパク質の開発と応用。
マウスを用いたホルモン量の生化学的測定。酵素共役免疫吸光法(ELISA)が主。

将来手がけてみたい研究内容
動物の組織個体を用いたin vivoイメージング(ただし、何を対象としたいかなどは全然決まっていない)
動物個体の行動解析

所属学会
日本生理学会、日本分子生物学会、日本神経科学学会