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レトロフュージョン細胞膜が細胞質側に陥入し、細胞質内に形成されるエンドソームは、エンドソーム膜に陥入が生じることで、腔内膜小胞(ILV)を内包する多胞体(MVB)と呼ばれる構造体となります。MVBはリソソームまたは細胞膜と融合することが知られており、それゆえにILVの進路は分解されるか、エクソソームとして細胞外に放出されるかの2つだと考えられていました。近年、MVBの膜の平衡状態の観点から、ILVがMVBと膜融合を起こす“レトロフュージョン”という3つ目の進路の存在が推測されるようになりました。しかし、推測されたこの反応は物理的なスケールが小さく、従来の手法では観察することが困難でした。
Priscilia Perrin博士らの研究グループは、MVBマーカーの膜タンパク質CD63に、核局在化シグナルとタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位(TCS)を持つ緑色蛍光タンパク質(GFP)タグを融合したタンパク質を細胞に発現させ、TEVプロテアーゼがTCSを切断するとCD63からGFPタグが切り離され、核に移行するシステムを設計しました。そして、このシステムを用いて、MVBの蛍光輝度変化率を測定し、理論値との比較をすることでレトロフュージョンの存在を確認しました。また、MVB内のpHの上昇や脂質、タンパク質の蓄積の誘導により、レトロフュージョンが抑制されることを明らかにしました。さらに、抗ウイルスタンパク質のIFITM3の過剰発現により、レトロフュージョンが抑制可能であることを明らかにしました。
本研究では、レトロフュージョン速度の可視化および定量化を可能にするシステムを開発しました。そして、このシステムにより、レトロフュージョンがMVBのライフスタイルの一部として生じるプロセスであること、ILVには少なくとも3つの進路が存在すること、レトロフュージョンとウイルスの侵入プロセスには多くの類似点が見られることが明らかになりました。エクソソームに関連する生体反応は、その選択性の高さに毎回驚かされるばかりです。
紹介論文: Retrofusion of intralumenal MVB membranes parallels viral infection and coexists with exosome release. Perin et al., Current Biology 31, 3884-3893 (2021)
