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カロリー制限のカギは絶食時間にあった?

 食事のカロリーを制限することで、寿命が伸び、糖尿病や認知症リスクが低下するなどの効果が様々な動物で示されています。一方、それらの生理作用はカロリー制限の何に由来するのかは明らかになっておらず、総カロリー量の低下が原因であるとする説、特定の栄養素の減少が原因であるとする説、食事をしない時間帯の増加が原因であるとする説などがあります。

 ウィスコンシン大学マディソン校らの研究チームは、マウスに様々な条件で食事を与え、その結果を詳しく解析しました。まず、①通常の餌を常に食べさせる条件、②食物繊維を増やしてカロリーを半分にした餌を常に食べさせる条件、③総カロリー量を30%減少させた量の餌を1日3回に分けて与え、満腹を回避しながら食べさせ続ける条件、④総カロリー量を30%減少させた量の餌を1日1回のみ与えて絶食時間を作る条件、の4通りでマウスを飼育しました。その結果、体重や体脂肪量の低下は②~④のいずれでも認められましたが、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの感受性は④でのみ上昇しました。このことから、インスリン感受性の上昇には総カロリー量の低下よりも、絶食時間の存在が重要であると考えられました。

 次に、①通常の餌を常に食べさせる条件、②総カロリー量は通常と同じで1日のうち3時間のみ与えて絶食時間を作る条件、③総カロリー量を30%減少させた量の餌を1日1回のみ与えて絶食時間を作る条件、の3通りでマウスを飼育しました。すると興味深いことに、②でも③と同様にインスリン感受性の上昇が見られました。また、マウスの脂肪組織や肝臓で遺伝子の発現パターンを解析したところ、②と③では発現パターンが類似していていました。すなわち、総カロリー量を低下させなくても、絶食時間を設けることでカロリー制限と同じ効果が得られると考えられました。

 最後に、初めの飼育条件②である、食物繊維を増やしてカロリーを半分にした餌を常に食べさせる条件が長期的に及ぼす影響を調べました。その結果、通常食やカロリー制限食を与えた場合に比べて体重や体脂肪量が低下しているものの、インスリン感受性の上昇は見られず、背骨の湾曲や毛並みの悪化、寿命の短縮など、体の老化を示す指標はむしろ悪化していました。つまり、総カロリー量を低下させるだけでは逆効果であると考えられました。

 以上の結果から、従来カロリー制限食で生じると考えられていた効果は、カロリー量そのものではなく絶食時間によって引き起こされていた可能性が考えられました。ただし、ヒトにおいては食事時間を極端に制限すると動脈硬化や糖尿病リスクが上昇することも知られており、今回マウスから得られた結果をそのままヒトに応用できるわけではないことに注意が必要です。

紹介論文: Fasting drives the metabolic, molecular and geroprotective effects of a calorie-restricted diet in mice., Pak et al., Nature Metabolism 3, 1327-1341 (2021)



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