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パーキンソン病モデルマウスの消化管機能障害と運動症状の制御における腸内細菌叢の役割

 パーキンソン病(PD)の症状は運動症状と非運動症状の二つに分けられる。非運動症状の中でも消化管機能障害はヒトPD患者の6~8割が呈する代表的な症状である。そこで、本研究ではロテノン誘発性のPDモデルマウスを用いて運動症状と腸上皮細胞のバリア障害における腸内細菌叢の役割を調べた。

 まず始めに6週間ロテノンを経口投与したCRマウス(正常マウス)とGFマウス(無菌マウス)それぞれのPDモデルマウスにおいて、ドーパミン作動性ニューロンの減少を確認した。また、これらのマウスについて握力テスト及びロータロッドテストを行い、運動能力を測定したところ、CRマウスに限り握力が有意に低下していることが明らかになった。GFマウスには運動能力の低下がみられなかったことより、腸内細菌叢の存在がロテノン投与による運動障害に関与している可能性が示唆された。

 次に、慢性的なロテノン投与が腸上皮細胞の透過性に及ぼす影響を調べた。CRマウス、GFマウス共にロテノンを6週間毎日投与された慢性投与群とロテノン投与後4時間経過時点で検証された急性投与群に分けた。各群のマウスより、大腸由来の粘膜-粘膜下組織標本を作製し、FITCを用いた透過性評価を行ったところ、CRマウスの慢性投与群の透過性が上昇していた。筆者等はGFマウスの慢性投与群の結果からは透過性の変化が見られなかったことを鑑み、慢性的なロテノン投与による透過性の上昇は腸内細菌叢に依存している可能性があると考察している。実際にメタゲノム解析によってCR マウスの慢性投与群の腸内細菌叢の組成を調べたところ、LactobacillusやBifidobacteriumの増加及びLachnospiraceae等の減少が確認された。この結果は、先行研究によって報告されたヒトPD患者の腸内細菌叢の組成と相似している。

 以上の結果より、PDの代表的な症状と腸内細菌叢の関連性が示唆された。今後は特定の腸内細菌叢の組成が症状に及ぼすメカニズムの解明が期待される。

紹介論文: Role of gut microbiota in regulating gastrointestinal dysfunction and motor symptoms in a mouse model of Parkinson’s diseasease, Bhattarai, et al., Gut Microbes, 13, e1866974, 2021.



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