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アディポカインが脂肪細胞の褐色化に作用する運動をすると、それまで熱産生をすることができなかった白色脂肪細胞内でミトコンドリアが作られ、褐色脂肪細胞のように振る舞いを変える。これを脂肪細胞の褐色化と呼ばれている。
これまで脂肪細胞の褐色化にはイリシンというホルモンが関わるということがわかってきた。イリシンは筋繊維から分泌され、脂肪細胞に作用する。この機能不全が代謝性疾患や肥満の原因ではないかと考えられてきた。
次に筆者らは胃バイパス手術を行った患者の血漿中GLP-1濃度の増加が、手術によってGLP-1を分泌する胃腸内分泌細胞の分泌量や分泌物が変化したために起こっていると考え、手術前後のヒトとマウスで分泌物質の種類や量を調べましたが、優位な変化は見られませんでした。
最後に筆者らは胃切除手術を行ったマウスに蛍光色素を混ぜたエサを与え、血漿中GLP-1濃度が最も上昇する7分後の時点で腸のどこまで栄養素が到達しているかを調べました。手術を行ったマウスではそうでないマウスに比べてより遠位まで栄養素が到達しており、そしてそのスコアは血漿中GLP-1、PYY、GIP濃度と相関を示しました。この結果は、栄養素の吸収が腸の胃腸内分泌細胞の多い遠位にシフトすることによって、より多くの胃腸内分泌細胞がGLP-1などを分泌したことを示しています。
これらのことから胃バイパス手術を行った患者の血漿中インスリン濃度の上昇は、胃を切除したことによる栄養素輸送の変化によってより多くの胃腸内分泌細胞がGLP-1を放出したために起こることが明らかになりました。胃バイパス手術は肥満に対する有効な治療手段であり、胃バイパス手術患者に関する代謝分野の研究は、新しく効果的な治療薬の開発につながるかもしれません。
紹介論文: Gema F et.al, Metabolism 108,154261, 2020