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TGNにおけるSMS経路への選別において、膜貫通タンパク質であるSyndecan-1が、可溶性分泌タンパク質LPLの積荷受容体として機能する

 米国Yale大学のSundberg博士らは、TGNから出芽するスフィンゴミエリンを多く含む輸送小胞が仲介するSphingomyelin secretion pathway(SMS経路)をすでに同定していた。本論文では、SMS経路依存的に細胞外へと分泌される可溶性分泌タンパク質であるLipoprotein lipase(LPL)が、TGNにおいてどのようにしてSMS経路に選別されているのかについて、詳細な分子機構を明らかにした。具体的には、Syndecan-1がLPLの積荷受容体としてSMS経路への選別の役割を果たすこと、加えて、Syndeca-1の膜貫通領域の配列が自身のSMS経路への選別に必要であることが明らかになった。

 また、本論文では、細胞表面で起こる膜融合イベントを可視化するために、全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)を用いた観察、解析が多用されている。特に、EQ-SMと呼ばれるスフィンゴミエリンを可視化するプローブを用いて、SMS経路による分泌を特異的に可視化することが可能となっている。筆者らは、これらのプローブを用いて、LPLおよびSyndecan-1の分泌が、EQ-SMの分泌と協調して起こっていることを見出し、これらの現象の要因を解明するため、LPLおよびSyndecan-1のそれぞれのドメインの役割について詳しく検討を行った。免疫沈降実験の結果から、二つのたんぱく質間の相互作用が、Syndecan-1に結合したヘパラン硫酸型糖鎖を、LPLの糖鎖結合ドメインが認識することによって形成されること、また、Syndecan-1の膜貫通領域がSMS経路へのSyndecan-1自体の選別に必要とされることを確かめた。これに加えて、LPLが持つPLATドメイン中の芳香族アミノ酸が並ぶ領域が、脂質膜との親和性を発揮することによってSMS経路への選別に寄与していることが明らかとなった。

 筆者らは、本論文の功績として、未だ謎が多く残る積荷選別機構の一例を明らかにするとともに、細胞内小胞輸送を扱う研究分野において、豊富かつ最適な実験手技的アプローチの手法を確立することに成功したと言える。

紹介論文: Syndecan-1 Mediates Sorting of Soluble Lipoprotein Lipase with Sphingomyelin-Rich Membrane in the Golgi Apparatus. Sundberg et al., Developmental Cell 51, 387-398, 2019



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