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青色光でシナプス抑制

 神経細胞の活動を、光を用いて自由に制御することが出来たら。そのようなことをこれまで多くの神経科学者たちは考えてきました。従来の光活性型イオンチャネルを用いたシナプス抑制のように、無理矢理に脱分極を引き起こしたりすることなく。そして、GPCRを介した抑制よりもさらに時間的/空間的感受性の高い方法があれば。

 そこでこれまで注目されてきたのがOpto-XRです。

Opto-XRはGタンパク質共役型タンパク質に、光感受性を持つオプシンを結合させたキメラタンパク質です。通常GPCRがリガンドを感受しON/OFFを切り替えるのに対し、Opto-XRは光の有無によりON/OFFを切り替えることができます。

 ヤツメウナギのオプシンである、パラピノプシン(PPO)を用いたOpto-XRはこれまで、紫外線の照射を受けるとONの状態へと切り替わり、結合しているGiタンパク質を用いた抑制性のシグナル伝達経路に作用するということが知られてきました。しかし、紫外線は生体内で利用するには毒性が高く、利便性に欠けます。そこで今回筆者たちはPPOが紫外線ではなく青色の光の照射によってでも同様にONの状態に切り替わり、シナプス抑制に利用できるということを示しました。また、PPOが琥珀色の光の照射により速やかにOFF状態へと移行する可逆的な反応を示すことも明らかにしました。

 PPOを用いた個体マウスの行動実験からもPPOが神経細胞に抑制的に作用し、ドーパミンニューロンによる報酬行動を減少させるということが分かりました。

 これにより、PPOは生体内でも利用できるサイレンシングツールとして確立されました。また、青色の光がこれまで利用されてきた光遺伝学装置でそのまま利用できることからも、より多くの場面でPPOがシナプス抑制に利用されるようになることが考えられます。これによりシナプスにおける抑制性のカスケードについてより理解が深まっていくことでしょう。

紹介論文: A photoswitchable GPCR-based opsin for presynaptic inhibition. Copits et al., Neuron 109, 1791-1809, 2021



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