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母乳に含まれるベタインが乳児の肥満リスクを軽減する

 乳児の成長・発育には、コリンやベタイン、メチオニンなどの一炭素代謝産物が関連しており、乳児はこれらを母乳を通して摂取しています。乳児は生後、急激に成長すると将来の肥満リスクや代謝性疾患のリスクが上昇することが報告されており、一炭素代謝産物はBMIや肥満リスクと関連していることが分かっています。本研究では、乳児の栄養源となる母乳にふくまれる一炭素代謝産物に着目し、それらが乳児の成長にどのような影響をあたえているのかを明らかにしました。

 本研究では、まずヒトにおいて母乳中のベタイン濃度と乳児の発育に負の相関があることを明らかにしました。その後、通常の母体と肥満母体のマウスモデルを用いてベタインがどのような効果をもつのかを検証し、腸内細菌叢や杯細胞数との関連を調査しました。その結果、母体にベタインを投与することで、その母乳を飲んだ仔のベタイン濃度が上昇し、対照群に比べて体重増加が抑制され、脂肪体積や白色脂肪組織の炎症が減少することが分かりました。肥満になりやすい傾向にある母体肥満のマウスから生まれた仔でも同様の効果が現れました。

  また、筆者らはマウスの仔の腸内細菌叢を調べることにより、消化管の粘膜の主成分であるムチンを栄養源とするAkkermansiaという腸内細菌がベタインをより摂取したほうが生後一過的に増え腸管上皮にあるムチンを産生・分泌する杯細胞数が持続的に増加することを明らかにしました。これらの効果は仔にAkkermansiaを経口投与することで再現されました。

 母親の産後のベタイン含有食物の摂取量や人工ミルクのベタイン含有量などを工夫することで、授乳期間中のベタイン摂取量を調整することにつながり、小児肥満予防となる可能性が示唆されています。

紹介論文:Increasing breast milk betaine modulates Akkermansia abundance in mammalian neonates and improves long-term metabolic health. Ribo et al., Science Translational Medicine 13,eabb0322, 2021



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