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女性ホルモンの低下が不安感を引き起こす

 女性ホルモンであるエストロゲンは、妊娠開始に伴って劇的に増加し、出産後は妊娠前以下の水準まで速やかに減少し、しばらくその状態が保たれるということが知られています。このエストロゲンの抑制状態が女性の気持ちに影響を与え、産後うつに特徴的な不安感など症状を引き起こすと言われています。

 今回、卵巣を摘出したメスのゴールデンハムスターを用いて、妊娠している時期と同等の量のエストロゲンを24日間投与し、投与を止めてから48時間後に試験をすることで、妊娠後のエストロゲンの量の低下を模倣した状態を作り出しました。その後ハムスターたちに高架式十字迷路試験(不安水準を図るための試験)およびショ糖嗜好性試験を行うことにより、エストロゲンの低下は産後うつに特徴的である症状のうち、不安感に作用しているということがわかりました。さらに、ハムスターの脳のオキシトシン産生細胞の存在する部位におけるオキシトシンの量の変化を免疫染色、およびqPCRを用いて調べたところエストロゲンが急激に低下することはオキシトシンの産生量を増加させているということが明らかになりました。さらに、それに伴い脳のDRN(縫線核)という領域において、オキシトシン受容体の数が増えているということもわかりました。

 DRNがさらに何にどう作用しているか、は未だ明らかにはなっていませんがおそらくドーパミン細胞やセロトニンニューロンを介して、不安行動に影響を与えていると考えられます。今後、エストロゲンが不安行動に与える影響が明らかになっていけば、産後うつに悩む女性を減らすことができるようになるかもしれません。

 紹介論文:Estrogen withdrawal increases postpartum anxiety via oxytocin plasticity in the paraventricular hypothalamus and dorsal raphe nucleus Hedges et al., Biological Psychiatry,2020



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