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帝王切開が行動障害を誘発する

 近年、女性の出産年齢の上昇に伴い増加傾向にある帝王切開。医療技術の進歩により帝王切開による出産のリスクは以前より低くなっています。しかし、近年の先行研究により帝王切開と自然分娩で産まれた乳児の腸内細菌種の間に大きな違いが見られ、子供の脳の発達には母体の膣のマイクロバイオームの感染が重要であることが分かってきています。このように帝王切開による出産のリスクは明らかになってきていますが、長期的な行動への影響はまだ分かっていません。

  そこで、アイルランド国立大学の研究チームは自然分娩と帝王切開で産まれたマウスの長期的な行動を測定し、帝王切開による行動変化を検証しました。すると、帝王切開で産まれたマウスでは自然分娩で産まれたマウスに比べ、不安様行動の増加、認知能力の低下、活動性の低下が見られました。また、マウスの腸内細菌叢の組成を比較した結果、帝王切開で産まれたマウスは生後3週間目において一時的なビフィズス菌種の大幅な減少が見られました。上記の結果に基づき、筆者らはさらに自然分娩と帝王切開で産まれたマウスの共同飼育、Bifidobacterium breve株の補給、ビフィズス菌の成長を刺激する食物プレバイオティクスの補給の3つの方法で帝王切開マウスの行動異常が改善されるかを検証しました。その結果、いずれの方法においても帝王切開マウスの行動異常の改善が確認されました。

 今回の結果は、マウスにおいて帝王切開が腸内細菌叢のビフィズス菌種の一時的な減少に関連しており、長期的な行動異常を引き起こす傾向があることを示しました。また、それらの行動異常が食糞行動を取るマウスの共同飼育やプロバイオティクスおよびプレバイオティクスの補給によって改善されることが分かりました。今後さらに研究が進めば、帝王切開に関連する行動の長期的な負の影響を回避する、補助微生物叢を標的とした治療法の開発につながるかも知れません(論文)。

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