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アレルギー対策のお薬と認知症

みなさん、花粉症対策はどのようになさっていらっしゃいますでしょうか。マスクやメガネをつけるだけでなく、抗ヒスタミン薬や点鼻薬を摂取していらっしゃるのではないでしょうか。今日は、花粉症のお薬と認知症の関係について、取り上げたいと思います。

2015年1月26日号の米国医学雑誌JAMA(The Journal of the American Medical Association)に抗コリン薬(抗コリン作用の強い薬)の長期間の使用と認知症の関係について報告されました(論文1)。論文の結論は、高齢者が不眠症やアレルギー性鼻炎などに処方される抗コリン薬を長期間過剰に摂取すると、認知症を発症するリスクが高くなるとのことでした。

副交感神経や運動神経において情報をやり取りする際には、アセチルコリンという情報伝達物質が放出されます。そして情報を受け取る側の神経細胞では、アセチルコリンを受け取る鍵穴のようなタンパク質(アセチルコリン受容体と呼ぶ)が存在します。つまり、アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合することで、神経間で情報が伝えられます。なお、この抗コリン薬は、アセチルコリン受容体にアセチルコリンが結合するのを阻害するお薬です。このような作用を持つ薬のことを抗コリン作用と言います。この作用を利用して、抗コリン薬は、胃腸の過活動や失禁、吐き気の抑制、うつ症状や花粉症の症状の緩和に用いられています。

今回の論文では、65歳以上で認知症の兆候が出ていない参加者3434名を登録し、平均で7.3年間経過観察を行いました。その観察の間に、797名の方が認知症を発症し、そのうち637名はアルツハイマー病(疑いも含む)と判断されました。これは、約23%の人が認知症になるということを意味します。また、この間の処方された薬を確認したところ最も使用されていたのは、風邪薬や花粉症、めまいや制吐剤として用いられる抗ヒスタミン薬でした。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合するのを阻害するお薬です。しかしながら、抗ヒスタミン薬の中でも第一世代の抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミンやプロメタジン)は、抗コリン作用を持つものがあります。また、これらのお薬は、市販薬として売られています(お薬の成分の書かれた裏書を確認するようにしてみてください)。

この論文から、高齢者が抗コリン作用の強い薬を継続的に使用することは、認知症を発症するリスクが非常に高いため、古いタイプの抗ヒスタミン剤の長期的な持続的使用は、避けるのが良いと思われます。


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