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神経由来Shhによるアストロサイトの機能や形状への影響

今回、アストロサイトが成熟したニューロンからの合図に依存して、生体内で複雑な分子構成を制御していることが発見されました。ニューロンはアストロサイトの特性を制御するためにソニックヘッジホッグ(Shh)を利用しており、その役割は細胞の増殖、仕様、および中枢神経系(CNS)の発達の間の軸索誘導のみではありませんでした。小脳Bergmannグリア細胞(BG)では、グルタミン酸の検出(GluA1と4)と回復(GLAST)、カリウムの恒常性維持(Kir4.1)を促進するためにShhシグナルを利用していました。

アストロサイトは脳内グリア細胞の一種であり、細胞外イオンの調整、神経伝達物質の恒常性維持、神経代謝、脳血管系の制御など、脳機能の基本的な役割を果たしています。 筆者らは、マウスの成熟脳においてアストロサイトの分子的特徴がどのようにして形成され、維持されているのかを探るため、小脳に着目し、異なった細胞配置と形態学、分子構造を持つBGと膜のあるアストロサイト(VA)の2種類のアストロサイトに注目しました。BGはAMPA受容体 GluA1とGluA4、GLASTに富んでいる一方、VAはAQP4の量に富んでいました。発生モルフォゲン経路であるShhシグナル伝達経路の構成要素もまた、成熟したBGでは濃縮されていますが、VAでは濃縮されていませんでした。

Shhのシグナル変換器であるSmoをBGから欠損させたところ、構造形成に影響はありませんでしたが、GluA1を始めとするBG特化分子が有意に減少し、VA特化分子であるAQP4は有意に増加しました。PCにおけるShhを除去したところ、隣接するBGにてGluA1といったBG特化分子が減少し、AQP4が増加しました。

一方、VAは元々Shh受容体Ptch2の量がBGよりも少ないためShhシグナル経路の活性化量も少ない。そこで、SHHシグナル経路を活性化するSmoM2を発現させたところ、AQP4の量は減少し、GluA1といったBG特化分子が増加しました。RNAシークエンスを行い、階層クラスタリング解析をしたところ、SmoM2を発現するVAは元のVAよりもBGとの類似性が高いことが示されました。ShhシグナルはVAに特異的な変化をもたらし、それによってVAはBGとVAの中間的な分子プロファイルを持つようになるのです。

紹介論文: Farmer, et al., Science, 351, 849-854, 2016

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