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小腸の細胞は腸内細菌によって概日リズムがコントロールされる

概日リズムは2017年のノーベル生理学・医学賞を受賞した3人の米国人科学者、マイケル・ロスバッシュ、ジェフリー・ホール、マイケル・ヤングによって解明され、一般的に「体内時計」として知られています。

体内時計は生体リズムを作り出すペースメーカーとしてはたらいており、体内時計の指令のもと、睡眠、体温、血圧、代謝、ホルモン分泌などほぼ全ての生体機能が調節されています。 私たちヒトや動物の腸には様々な腸内細菌が住んでいます。つまり私たちは腸内細菌とともに生活しているのです。

腸内環境が人々の健康に様々な影響を与えることは近年多くに人に認知されつつあると思いますが、今回はその腸内細菌が私たちの腸のリズムをコントロールする可能性について報告が行われました(論文)。この研究では、正常マウスと無菌マウスの小腸の細胞を用いて転写状態の日内変動を調べました。その結果、正常マウスでは遺伝子発現に日内変動が見られるのに対し、無菌マウスではリズムがなくなり遺伝子の発現が高いまま維持されることが分かりました。さらにどんな遺伝子が影響を受けているのか解析したところ、栄養や脂質の輸送・代謝に関係する遺伝子が発見されました。つまり腸内細菌は小腸の細胞の体内時計を変化させ、私たちが食事で摂った栄養や脂質の輸送や代謝をコントロールする可能性あるのです。

時差ぼけや夜更かしで生活リズムが崩れるとがんや肥満などのリスクが高まることが知られていますが、腸内細菌も時差ぼけなどの影響を受けて私たちの身体の代謝リズムを変えてしまっているのかもしれません。